お食事について(小食や好き嫌い、歩き食べ)

お子様には、たくさん食べてもらったり、好き嫌いなく食べてもらいたいと思うものです。お子様の食べる量が少なかったり、好き嫌いでお悩みになる方もいらっしゃると思います。

しかし実は、小食であったり好き嫌いがあっても、成長には問題ないことが多いです。
お子様のお食事について心配になってしまった時のために、このページでは栄養学と社会学に基づくお子様のお食事について説明します。

*身長と体重の増加に問題がなければ、摂取kcalは十分です

お食事の量について心配になった時は、母子手帳の成長曲線をご覧いただき、成長曲線の下の線に沿って身長と体重が増えていれば摂取kcalは十分ですので安心してください。

人にも車のように「燃費の悪い人」と「燃費の良い人」がいます。燃費の悪い人(たくさん食べなければエネルギーが不足する人)が普通の量しか食べなければ栄養が不足します。燃費の良い人(小食で十分な人)が普通の量を食べると肥満になってしまいます。お子様は自然と必要な量を摂取しようとするので、食べたいだけ食べると適量になることが多いです。

どのくらいが適量かというと、お子様の場合は成長曲線に沿って身長と体重が増える量です。
身長と体重が成長曲線からどんどん離れていく時は、小児科に相談してください。

ちなみに、たくさん食べればより成長するかというと、そうではありません。身長や筋骨格の成長は様々な因子によって規定されていますので、栄養だけたくさん摂ってもうまくいきません。欲しいだけ(必要なだけ)が良いでしょう。無理にたくさん食べさせると、肥満が心配になります。

*野菜が食べられなくて心配です

野菜そのものが食べられなくても、刻んだりペーストにした野菜やフルーツを、カレーやハンバーグに混ぜたら食べてくれるようであれば全く問題ありません。
それが無理でも、野菜ジュースが飲めれば大丈夫です。
それも無理なら、少し食べられるようになるまでリンゴやオレンジなどのフルーツジュース(できるだけすりおろしたり絞ったもの、濃縮果汁還元でないもの)でしのぎましょう。

野菜ジュースやフルーツジュースには否定的な意見があるかもしれませんが、子育てにはバランスが大切です。野菜が苦手なお子様に、毎日1時間かけて野菜を食べさせようとすれば、お子様は更に野菜嫌いになり、ご家庭の生活も大変です。
野菜が苦手なお子様も、大きくなるにつれて少しずつ食べられるようになります。食べられるようになるまで、最低限必要なビタミンや食物繊維をジュースで補ってあげるのは合理的でしょう。

お子様が野菜を苦手な理由は、大人と比べて味覚が敏感なため、野菜の苦味や青臭さが気になってしまうからです。また、食感がお口に合わない場合もあります。
稀に、味覚への敏感さが強すぎたり、こだわりが強いことによって、食べられるものが極端に少ないお子様がいます。そのような場合は、小児科で発達について相談すると良いかもしれません。

どのようにすると、お子様とご家族のご負担少なく野菜が食べられるようになるかについては、当クリニックの幼児食インストラクターと相談するのも良いと思います。お気軽にご相談ください。

*座って食べられません

乳幼児が長い間椅子に座っていられなくても問題ありません。
もちろん人によって得意不得意があります。得意なお子様は、気づいたら座って食事ができるようになっています。一方、小さい頃は座って食べられなかったお子様も、大きくなるにつれて座って食べられるようになります。

食への興味が少ないお子様も、長い間座って食べるのが苦手なことがあります。できるだけ楽しく、お食事がストレスにならない環境を整えてあげると、徐々に座れるようになります。歩きながらでないと楽しく食べられないお子様であれば、小さいうちは歩きながら食べても良いでしょう。食事の後のお掃除が大変になってしまいますが、やはりそこもバランスが大切です。
焦る必要はありませんので、座って食べられた時に少し大げさに褒めてあげながら、小学校入学までに座って食べられるといいなくらいの気楽さで取り組んでいただけると嬉しいです。

稀に「じっとしているのが苦手」という気質のために、座って食べられないお子様もいらっしゃいます。お食事以外でも、じっとしていることがあまりない、もしくは苦手な場合は、小児科で発達について相談すると安心です。
当クリニックでは、発達の相談はお電話でのみご予約を受付けておりますので、お気軽にお電話ください。

*よく「残してはいけません」「好き嫌いなく食べましょう」と聞きますが

日本でも、食料難から「残さない」「なんでも食べる」が合理的な時代がありました。
しかし、それも今では昔の話、現在の日本は状況が異なります。社会学の分野になりますが、食料自給率や食料安全保障の観点からは、国産の食料を多少余分に作る(つまり多少捨てる)くらいが丁度良いのです。

また、現在の日本のこどもたちは、栄養不足のリスクよりも成人病のリスクの方が格段に高い状況です。満腹だけれど出された分は無理して食べるよりは「お腹いっぱいだから少し残していい?」と聞けるお子様の方が心身ともに健康です。

栄養バランスについても、炭水化物(お米やパン、麺、場合によってはお菓子)とタンパク質・脂質(肉、魚、大豆など)、野菜の3種目を、何か1品目ずつでも摂れれば大抵の場合で健やかな成長が維持できます。嫌いな物を無理して食べるよりも、パンが苦手ならお米、ブロッコリーが苦手ならキャベツ(もちろん野菜ジュースでも)というように、同じ栄養素の食べられる品目に置換える方が、お子様にもご家庭にも幸せな食生活です。

これらの事実への理解と、お子様一人一人の体質や発達段階によって必要な食事量や品目が異なることから、お子様の健やかな成長を目的として、最近の公教育(園や学校)では、昔のように一律に給食を「残してはいけません」という指導はしないのが正しいという認識が広がっています。
好き嫌いについても、今すぐ「好き嫌いなく食べましょう」ではなく、大人になった時の食生活が豊かになるように「成長するにつれて食べられるようになると良いですね」が正しい姿勢です。嫌いな食品も、まずは匂いを嗅いでみるくらいから始めると良いかもしれません。匂いも苦手な時は、まだ食べられる準備が整っていないサインですので、無理せず残すのが良いでしょう。

もちろん、ご家庭で食品を捨てるのは経済的に非合理的ですので、食べられる品目を食べられるくらいの量食卓に並べるのが良いと思います。

*楽しく、無理せずが理想です

これまでお話しした通り、お子様のお食事については、食べられる物を食べられるだけで問題ないことが多いです。

昔はトマトやピーマンが食べられなかった人も、大人になった今では、好きではないけれど食べられるようになっていることが多いでしょう。同じように、お子様も食行動の成長とともに、少しずつ食べられるものが増えていきます。

食卓が楽しいこと、あまり無理をしないことが、お子様の健やかな食行動の成長に必要なことです。

お子様のお食事について迷った時は、当クリニックにご相談いただければ、幼児食インストラクターが相談に乗ることもできます。幼児食インストラクターが相談に乗れる時間帯については、お気軽に電話でお問い合わせください。

※食べさせ方や、学校給食についてお困りの際はこちらをクリックしてご参照ください→きゅうけんホームページ

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